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こんにちは。松永裕太郎です。
私は2018年にYAZへ新卒入社しました。
私は2018年にYAZへ新卒入社しました。
2022年4月からは5年目ということもあり、後輩と一緒に仕事をしたりする機会も増えてきました。
そんな「後輩教育」に関することをお伝えしていこうと思います。
先輩・上司の方向けの内容になっていますので、これから後輩が入ってくる!どうしよう!という方はぜひご覧ください。
※当記事は、社内ライトニングトークの内容を文字起こししたものです。
新卒にできる仕事
新卒の頃は、出来る仕事が限られています。
● アプリの仕様書を読み込んでおく
● 簡単な機能の実装をする
● テストケースの作成と実施を行う
● 議事録作成
まずは誰でも出来る仕事からお願いして、少しずつステップアップしていくのが一般的かと思います。
とくに定番の仕事が「議事録」ですね。
会議に参加することで、プロジェクトにどんな人が関わっているのか、どんな周辺技術を使っているのかなど多くの学びがあります。
また、人の発言を聞いて簡潔にまとめる力を身につけることも理由の1つです。
そして先輩・上司からすると、作業負荷を減らせる(減らしてくれる)側面もあります。
(いつもありがとう、後輩たち……?)
ほんとにそれって『できる』仕事なの?
しかし、ふと疑問に思いました。
議事録って、ほんとに新卒みんな出来る仕事なの?と。
「議事録を作成する」という作業に必要な力として、タイピング速度が必要不可欠となります。
どんなに人の話を聞いて、要約する力があったとしてもタイピングが遅いと聞き漏らしてしまいますよね。すると結果的に、議事録(成果物)が作成できないということになります。
私たち先輩・上司は、このIT業界に身を置いて長くなるので「エンジニアならタイピングできて当たり前」という価値観のなかで仕事をしています。
なので、新卒や未経験の子に対しても「議事録お願いね」と何の気無しに依頼してしまうのです。
そこに「タイピングできること前提」という裏の意味が含まれていることに、自ら気づかないままで。
● 私たち先輩・上司が無意識下で期待しているレベル(当たり前と思っているレベル)
● 実際に新卒が出せる成果(アウトプット)
これらにはギャップが生じやすいという結論に至りました。
私の体験談
その結論に至ったのは、昨年(2021年)に私が体験したことがきっかけです。
始まり
2021年7月から、とある新卒メンバが同じプロジェクトに参画しました。
私も内心「やったー、今までやってた議事録やっと他の人に任せられる〜」と舞い上がってました(正直、議事録書くのはめんどくさいので)。
ところが、その新卒はタイピングが苦手なようでした。
誤字脱字が多く、単純にタイピング速度が遅いことが目立つ。
「まぁまぁまぁ、聞き慣れない言葉も多いし仕方ないよ。1ヶ月も経てば慣れるさ〜」と思っていました。
1ヶ月後
しかし、1ヶ月経っても変わらない。
いや、相対的に見れば前より遅くなってるか?遅くなってるかもしれんぞ?お?
朝会議の議事録では、画面共有して議事録をプロジェクトメンバ全員で見ながら報告をします。
タイピングし終わるのを待つことが常態化してきていたので、正直イライラしていました。
イライラを分解する
とは言っても、この怒りを新卒にぶつけたところで何も解決しません。
「ストレスがあるところに課題がある」
そう考え、なぜ自分がイライラしているのか深堀っていきました。
● これまで自分がやっていた作業なので、「自分がやった方が早い」とどうしても考えてしまう
● 自分の方がタイピング速度が速いから(新卒とのギャップがある)
→そのギャップを埋めることで、イライラも解消されるのでは……?
と単純な構造でした。
全員幸福世界
ここで気づきました。
タイピング速度さえ改善できれば、松永の心に平穏が訪れ、メンバの無駄な待ち時間も削減される、さらに新卒本人の他の作業効率も上がる!
あれっ、もしかしてこれって……みんな幸せな世界じゃん!!!
こりゃ、やるっきゃねえ!
ここまでを一旦整理
ちょっと松永ワールド展開しすぎたので、一旦整理します。
● どこにギャップがあるのか
→タイピング速度
● ギャップを埋めるとどうなるのか
→みんなが幸せになる
● どのようにして埋めていくのか
→?
ギャップを特定することはできました。次はこのギャップを「どのように」埋めていくのかについて考えていきます。
どのようにしてギャップを埋めていくのか
結論から言うと『月に1回、寿司打でタイピング対決を行う』です。
フォローする中で意識したこと
私は新卒のフォローをする上で、2つのことを意識しました。
● やる気を(お互い)保つ
● 必要性を伝える
以下で詳しく説明していきます。
やる気を(お互い)保つ
お互い無理なく継続できるように、頻度と負荷を検討しました。
あまりにも負荷が大き過ぎると、相手の許容量以上であれば精神的にもキツくなってしまいます。
また「やらせる」のではなく「一緒にやる」ということを意識しました。
やらされるよりも、一緒に成長している、先輩をライバル視させることによってやる気を引き出せるのではないかと考えた結果『月に1回、寿司打でタイピング対決を行う』ことにしました。
※フォローする新卒個々人の特性を見極めて、どのような負荷、頻度でフォローしていくか検討するのが良いかと思います。
必要性を伝える
特定の技術や作業を、習得・上達しなければならない理由をきちんと伝えるということを心がけました。
伝える相手に馴染みのあるものに置き換えたり、印象に残る言葉を使ったりして、必要性を伝えていきます。
例えばある仕事で後輩がミスをしたとき「AをBするようにしてね」と伝えるだけだと、本質が伝わっていないので枝葉の改善しかできません。
そうすると、同じようなミスを別の場面で繰り返してしまう恐れがあります。
【必要性を伝える際の例】
例えば、新卒が顧客MTGでとった議事録をレビューなしで顧客に送ったとします。
●指示
「議事録をお客様へ送るときは、必ず先輩のレビューを通してからにしてね。」
●必要性
「セルフチェックだけだと見落としがちだから、必ず他の人に見てもらおう。PLの●●さんも、メールを送るときは必ず僕にチェック依頼をしてくるよ。」
「小さなミスが信用を失う恐れもあるから注意しようね。」
議事録に関する「やり方」を伝えた上で、メールにスコープを広げつつ「なぜそうしているのか」を伝えています。
伝えるときの例<フードファイター>
エンジニア
エンジニアにとってタイピングは必要不可欠です。これは周知の事実。
経験の浅い新卒でもわかることです。
・全ての基礎:タイピング
・スキル:コーディングや設計能力など
・ミス:タイピングミス
どんなにプログラミングスキルがあっても、タイピングが遅ければ元も子もありません。
フードファイター
そこで「印象的に残る言葉」であり「馴染みの深いもの」として、フードファイターを例えに出して伝えました。
「エンジニアとフードファイター?」という意外性と、「食べる」という馴染み深いどころではない生活行為を紐付けました。
・全ての基礎:箸を持つ
・スキル:胃の大きさ(食べる量)
・ミス:こぼす
フードファイターも同様に、どんなに食べる量が多いポテンシャルを持ち合わせていても、箸をうまく持てなければ口に運ぶことができません。
エンジニアとフードファイターの比較
・タイピングミスをすると、文字を消して正しい文字を打たなければならない。
・食べ物をこぼすと、かき集めてもう一度口に運ばなければならない。
したがって、エンジニアにとってタイピングが遅いということは、フードファイターの箸が持てないのと同じであると言えます。
こんな感じで新卒に伝えていきました。
エンジニアとフードファイターの例えは、親和性が高いですよね。我ながら良い発見をしました✌️
他にも大工さんや体操選手など、たくさんありそうですね。
その後の結果
さて、気になるタイピング対決の結果発表です!
じゃーん。
2021年10月から毎月行い、2022年からは業務都合上2ヶ月に1回実施しました。
初回と最後を比較すると、
・タイプ数は約90文字増加
・ミスタイプは半分以下(76→35)に減少
しました!?
新卒の変化
現在は私が別プロジェクトに入ったので、どのようなタイピングをしているのかわかりませんが、朝会議の議事録がアップされる時間が明らかに早くなっていきました。
そして、プロジェクトリーダーから「タイピング早くなったね」と言葉をもらっている場面も目にし、客観的に見ても早くなったんだな〜と嬉しく思いました。
まとめ
時系列ごとにまとめました。以下の通りです。
● 課題
→ストレスを感じるところに課題がある(こともある)
● 立ち上げ
→なぜそれが必要なのかを伝える
● 改善
→自分も相手もやる気を保つために、適度な頻度、負荷で行う。
最初は、ストレスを解消したいという利己の思いでやったことです。
それが結果的に他の人にも良い影響を与えることができました。
業務改善という点で言えば、利他の精神も大切ですが、利己の精神から改善していくというアプローチの仕方もあるのだと学びました。
ぜひ、新卒や後輩へ教える際の参考にしていただけると幸いです!
さいごに
YAZでは、お客様の要望に応えるだけでなく、後輩教育・仕事がしやすい環境づくりにも力を入れています。
弊社に興味がございましたら、お気軽にご連絡ください!