業務改善

【スクラム開発】ドラッカー風エクササイズを試したらチームがいい感じになった話。

2023年12月11日

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松永です。

私はAndroidアプリ開発者として新卒入社し、現在はプロジェクトリーダーとして複数案件のマネジメントを行なっています。

その案件の中に、弊社が開発している『TrueColors』というサービスがあります。
iCDという標準指標をもとに、自分のスキルを測ることができます。

 ※クリックすると、TrueColorsの説明ページが別タブで開きます

そしてこのプロジェクトでは、ユーザーが求めている機能を柔軟かつ迅速に対応するために、スクラム開発を採用しています。

そのスクラムプラクティスの一つである「ドラッカー風エクササイズ」について今回はご紹介していきます!

 

ドラッカー風エクササイズとは

ドラッカー風エクササイズとは、チームメンバーのスキルや得意な領域を明確にし、チーム全体が持っている力を把握するためのワークショップのことです。

これによって、メンバー同士の理解を促進することができます。
また、チームで出来ること出来ないことを明確にすることで、どんなスキルを持った人が必要か検討することにも役立ちます。

一般的には、プロジェクト立ち上げ時やメンバーの入れ替わりが起きたタイミングで実施します。

 

どんなことをやるの?

手順は以下の通りです。

・参加者に概要や目的を伝える
質問事項に対する回答を付箋に記入し、ホワイトボードなどに貼り出す
・参加者は順番に自分の回答を発表し、メンバーと共有する

項目2つ目に書いている「質問事項」とは、以下の4つです。

・自分は何が得意なのか?
・どういうふうに仕事するのか?
・自分が大切に思う価値は何か?
・チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?

 

なぜドラッカー「風」なの?

ピーター・ドラッカーというマネジメント体系を確立させた、マネジメントの父と呼ばれる人物をご存知でしょうか。

彼は「我々の使命とは何か」「我々の顧客の価値とは何か」という『〜は何か』のような問いかけで有名です。

ドラッカー風エクササイズも、このような『〜何か?』『〜なのか?』という形式で構成されていますね。

ちなみに『アジャイルサムライ』や『カイゼンジャーニー』といったスクラム開発の名著にも記述されているワークです。

 

実際に私たちのチームで実施!

ここからは報告書チックにまとめていきます。

チーム体制

・プロダクトオーナー(PO) 弊社CTO
・スクラムマスター(SM) 松永
・開発チーム(Dev) 2名

 

実施しようと思った経緯

実施前、自分を含めたメンバーそれぞれが不安や悩み、言葉にしにくいモヤモヤなどを抱えているようになんとなく感じました。

実際に個別MTGで意見や考え方において、齟齬が度々起きていました。
歓迎会の中で雑談はしたものの、業務上での期待やそれぞれの持つ得意なことなどについては、不明瞭なままであったことに気づきます。

そこで、一度チーム全体の認識合わせが必要だと思い実施に至りました。

 

オリジナルの質問内容

さまざまなWebサイト、書籍を参考にTrueColorsチームオリジナルで実施することにしました。

元の質問事項は以下の通りです。

  1. 自分は何が得意なのか?
  2. どういうふうに仕事するのか?
  3. 自分が大切に思う価値は何か?
  4. チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?


TrueColorsオリジナルの質問項目は以下の通りです。

  1. 自分は何が得意なのか?
  2. 自分が大切にしている価値とは何か?(≒嫌なこと)
  3. メンバーに知っておいてほしいこと
  4. メンバーから期待されている・望まれていると思うこと
  5. メンバーに対して期待していること・望むこと(自分以外の全員に対して記入する)


今回の目的は、メンバーそれぞれの価値観や期待していることの認識を揃えることです。
ですので、1~4は自分の内面を開示する質問、5は他者に対する思いを伝える質問として用意しました。

こうすることで、自分の思い込みを無くすことや、他者への期待を伝えることができると考えました。

 

実施計画

●実施日から1週間前

・概要/目的/背景を伝える。
・Googleフォームにて事前に回答してもらっておく。
 →カンペとして使えるため、当日の考える時間を短縮することができた

●実施日 当日の流れ

  1. 1~5までの回答を付箋に記入してもらう。
  2. 1~4までの付箋をホワイトボードに貼り付ける。
  3. 1人ずつ発表していき、気になる点などを質問して、より深く相手のことを共有してもらう。
  4. 5の付箋を、各メンバーの領域に貼ってもらう
  5. 1人ずつ、自分以外のメンバーに対しての思いを発表してもらう。
  6. 実施後のアンケート


場所は渋谷本社で行うことにしました。
こういった交流を深めるワークは、対面でやるべきだと判断したためです。

また、時間帯はお昼前でも良いかと思います。このワーク後、ランチへ一緒にいくとさらに良いでしょう。
(今回はお昼休憩後に実施しました)

 

実施!

いざやってみると、想定よりも様々な意見が出て興味深かったです。

「へ〜、Aさんはこういう価値観なのか」
「確かに、Bさんのこの考えって、普段の行動に表れてるよねw」

というふうに自然と会話も盛り上がりました。

そしてお互い行動について『この価値観があるからなのか』という発見が各メンバーの中であったことかと思います。

実施後の効果

数値的に測れるものではないので感覚値になりますが、チーム間のコミュニケーションが改善されたと思います。

雰囲気が悪いというわけではないのですが、以前よりも和んだというか、心理的安全性が向上し、互いに意見しやすくなったと感じました。

実施後のアンケートでも「メンバーのことを理解できましたか」という質問に対して『5段階評価の5』を回答するメンバーがいたり、
CTOからも口頭で「やってよかったよね」という言葉があったり、チーム内でも好評でした。

 

感想

人は、わからないものに対して不安を抱きます。

その対象はモノや時間(未来)、仕事だけでなく、人間に対しても不安を抱きます。

業務上のつながりとなると、リモートがメインとなり、どうしても相手がブラックボックス化してしまいます。

ブラックボックス化してしまうと、中身(何を考えているか)がわからない、そして意図せず不安や意見の衝突が起きてしまう……
という連鎖反応を起こすと私は考えます。

そして今回のワークを通してメンバー間の関係が改善されたのは、
「相手の中身を理解しているから」「Aさんはこういう考え方だったから」というホワイトボックス化したためだと考えています。

業務改善において、もちろん仕組み化するなど手段は様々ですが、
まずは一緒に働くメンバーをお互いに理解し合うことから始まるのではないかな、と感じました。

 

参考書籍/参考サイト

🔗ドラッカー風エクササイズ(AgileStudio)

🔗「ドラッカー風エクササイズ」で期待をすりあわせて安全なチームに(Pepabo Tech Portal)

🔗カイゼンジャーニー(市谷 聡啓/新井 剛)

この記事を書いた人

松永裕太郎

松永裕太郎

●2018年 新卒入社
●スマホアプリ /サーバサイド開発 /新卒研修講師
●最近はアジャイル開発について勉強中