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【人事・自治体必見】地方でも新卒採用につながるインターンシップ企画とは?

2023年11月7日

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地方×インターンシップの可能性

沖縄に次いで日本で2番目に大きな離島・新潟県佐渡島。人口減少や若者の島離れといった、日本の地方が抱える課題が特に進行している地域の一つです。

解決の糸口として、人材採用・人材育成のノウハウを提供している私たちYAZがインターンシップの企画に携わることに。
佐渡島という地理的な制約がある中で、多くの優秀な大学生と企業をマッチング(内定・内々定)させ、地方部の先進的な成功事例としてメディアにも取り上げられました。

本記事では、改正後のインターンで注意すべきこと、地方でのインターン企画において陥りやすい間違いと優秀人材を確保する戦略についてご紹介します。

本記事はこのような方におすすめ

・母集団形成に悩んでいる地方企業
・離島や過疎地方でインターンを開催したい企業(自治体)
・インターンから入社(雇用)に繋げたい人事担当者(自治体)
・まちづくりや地方創生に興味を持つ学生を集めたい自治体
・1DAY会社説明会or改正後インターンで悩んでいる企業

25卒以降で改正されたインターンシップの定義

具体的に何が変わった?

学生が企業の社風を感じ実業務を体験する機会として、インターンは広く知られています。しかしその定義が大きく変化したことはご存じでしょうか?

国は25卒以降の学生が、仕事選びの際に参加する就業体験等の定義を4つのカテゴリに分類しました。
<タイプ1>オープンカンパニー
<タイプ2>キャリア教育
<タイプ3>汎用的能力・専門活用型インターンシップ
<タイプ4>高度専門型インターンシップ

このうちタイプ3とタイプ4が「インターンシップ」に位置付けられます。

参照:人事ラボ「2025年度卒学生向けインターンシップはどう変わる?~インターンシップ情報が採用活動にどう使用できる?」 https://www.jinjilab.jp/article/column/newgraduate/a15

 

オープンカンパニーで得た学生情報は採用に活用できない

「1dayインターン(ワンデー)」と呼ばれていた1日間で開催されるような超単日の会社説明会は、「オープンカンパニー」としてカテゴライズされ、インターンと呼べなくなりました。

オープンカンパニーとインターンの大きな違いの一つは、「得られた学生情報を採用活動で使用できるかどうか」です。
つまり、オープンカンパニーで採用したい学生を見つけたとしても、採用活動開始のタイミングで学生に連絡を取ることができません。
従来通り、インターンで収集した学生情報を採用プロセスに活用したい場合は、インターンを推奨します。

一方、インターンにはデメリットがあることも知っておきましょう。
オンラインでのリモート開催やワンデーといった手軽な仕事体験に比べ、インターンでは開催期間5日以上といった条件を満たす必要があり、こうした制約が新たなインターンシップ開催の際のハードルの一つとなっています。(スライド等資料の作成負担、イベントの準備も5日以上となると相当なものとなります)。

メリット・デメリットを踏まえ、自社の採用戦略の見直しを行いましょう。

変容する「学生の仕事観」 年々高まるインターン需要

長期インターンの開催は前述した通り、通常の就業体験に比べて企業の負担が増えます。
一方で重要性がますます高まっていることも事実です。

需要が高まる理由は大きく2つです。

理由(1)「視野の拡大」から「業種・企業の絞り込み」へ

学生が就業体験(インターンシップ、オープンカンパニー等)に参加する理由が、「視野の拡大」つまり「社会勉強のため」や「採用活動までに自分が興味を持つ分野を知りたい」といった理由から、「業種・企業の絞り込み」つまり「特定の業種・企業について詳しく知りたい」という明確な目的へと変化しています。

マイナビの調査によれば、19卒までは、「自分が何をやりたいかを見つけるため」が最も多く、約60%の学生がこの理由でインターンシップに参加していました。
しかし、20卒以降は一変し、「特定の企業について詳しく知りたいため」が最も多い理由となっています。

これは、学生がより実務的な就業体験を求めていることを示しています。
つまり学生が求めるのは、単なる企業説明会ではなく「実際に働くイメージ」が湧くような実践的な就業体験であり、複数日にわたる業種や企業に焦点を当てたインターンシップの需要が高まっていることを示唆しています。

理由(2)学生囲い込みが年々早期化

近年、新卒採用が難化するにつれて学生の囲い込みが早期化しています。

内々定出しの時期は、依然として4月が最多ではありますが、24卒からは広報活動が解禁される3月時点で内々定出しする企業が増加しています。なぜそんなに早く内々定を出すことができる企業が多いのかというと、「前年の夏から学生を集客している」からです。

加えて、25卒からは、「インターンシップを開催しなければ学生の情報を選考に使えることができない」という制約ができました。インターンシップの重要性は今後も一段と増すでしょう。

インターンシップ vs ワンデー 結局どっちがいいの?

結論から言いますと、人材獲得を真剣に考えているのであれば、インターンシップを選ぶことを強く推奨します。前章で説明した通り、学生が就業体験に参加する理由は、「視野の拡大」から「業種・企業の絞り込み」へと変化しています。

確かに、オープンカンパニー(1dayインターン)ではなくインターンを開催するとなれば、相応の労力やコストがかかります。実際、25卒を対象とした就業体験において、オープンカンパニーの形式を選択した企業は約7割であるのに対し、一般的なインターンは約3割に過ぎません。

しかし裏を返せば、改正後のインターンに対応している企業・自治体が少ないからこそ、差別化のチャンスがあるということです。そして、インターンが1dayと決定的に違うことは、就業体験で得た学生情報を選考に活用できる点にあります。

さまざまな業界で人材不足が深刻化し、学生の獲得競争が早まっている今、インターンを開催しないと「学生が一人も集まらない」という状況すら起きています。優秀な人材を獲得したいのであれば、インターンは不可欠と言えるでしょう。

人材獲得は戦国時代へ…カギは「コラボインターンシップ」

「インターンの重要性は分かったが、やはりそこに割く人材もいないしコストもネックになる」という方には「コラボインターンシップ」を提案します。
コラボインターンシップとは、複数の企業が合同で開催するインターン形式のことです。

私たちは長らくコラボインターンシップの企画に携わってきましたが、企業が「個別に」開くインターンに比べて、企業と学生の双方に多くの利点があると考えます。
ここからはコラボインターンシップの特徴について徹底解説します。

 

【企業メリット】多種多様な人材にアプローチできる

自社が単独でインターンを開催した場合、当然ですが、その業種に興味のある学生しか集まりません。
しかし、複数の企業と合同で開催するコラボインターンでは、様々な職種・業種に興味を持つ人材にアプローチすることが可能となります。

「コラボインターンは、学生が業種・企業の絞り込むトレンドから外れているのではないか?」と思われるかもしれませんが、それはやり方次第です。

確かに「複数企業のことを広く浅く」知ることができる単なる”社会見学”のような内容では、何も残らないようなイベントとなるでしょう。
しかし、学生が実際に就業体験できる企業を1社選び、その1社に焦点を当てる「1社集中型の就業体験」を採用することで、学生の関心を引くイベントにすることが可能です。

要するに、アプローチ方法次第です。

残る問題は、いかに異業種に興味関心を持つ学生を自社に惹きつけられるか。
例えば座談会や懇親会など参加学生全員と接点を持つ交流の場を設けることが挙げられます。
これにより、他社の就業体験に参加している学生にもアプローチするチャンスが生まれるでしょう。

【学生メリット】一度で複数の企業を知ることができる

インターンは企業にとってだけでなく、参加する学生にとっても負担が大きいものです。
特に今時の学生は「タイムパフォーマンス」、つまり費やした時間に対してどれくらいのリターンが得られたかを重視する傾向にあります。
こうした学生たちを「タイパ世代」とも言いますが、彼らにとって一度のインターンで気になる企業を効率的に理解を深めることができるコラボインターンは非常に魅力的でしょう。

また、特定の企業に興味を持つ学生にとっても、様々な業種の企業と接触することで価値観を広げられるメリットがあります。一方、注意点としては、ビジネス的に競合となりうる企業同士の参加を避けるか、差別化を図る対応が必要です。

コラボインターンを成功へ 陥りやすい誤りとは?

佐渡島から浮かび上がる地方インターンの課題

人口約5万人の新潟県佐渡市は、沖縄に次ぐ日本第2の大きな島で、世界遺産登録が注目されています。
しかし、少子高齢化・若者の島離れによる人材不足がこの島を悩ませています。学生のUターン・Iターンを促すため、佐渡市は島内企業向けのインターンシップ「SADO JOB」を開催していましたが、結果が得られず。

そこで…

佐渡で新規事業として企業に人材採用・人材育成のノウハウを提供する私たちがSADO JOBに携わり、企画立案・運営の見直しを行ってきました。
ここから明らかになったのは、佐渡島のみならず、全国の地方自治体が直面しているであろう共通の課題感でした。

▼SADO JOBの詳細はこちらから▼

地方課題その(1)コストや労力だけがかかる”ムダインターン”に

企業:採用に繋がらない。労力・コスト・時間を消費しただけで何も残らない。
学生:社会人となる前の単なる思い出作り。期待していた内容と違った。


せっかくインターンを開催したにも関わらず、採用に繋がらなかったという経験を皆さんもしたことがあるかもしれません。
原因は様々ですが、実は企画段階で問題が発生している場合が多いのです。

SADO JOBも当初は、学生・企業双方にとって何も残らないインターンでした。
その主な原因は企画の部分であり、「ターゲットとなる学生の分析が甘く軸がぶれている」ことが挙げられます。

インターンシップが成功するか否かは企画段階で99%が決まります。
そのため、募集対象となる学生に魅力的と思われるような企画設計が非常に重要となります。

地方課題その(2)インターンに対する学生・企業間の意識乖離

企業:学生に良い印象を持って帰ってもらいたい!泥臭い仕事なんて絶対に見せられない
学生:インターンを通して働くイメージを膨らませたい!泥臭い仕事大歓迎

皆さんの就業体験は社内見学やグループワークの実施のみにとどまっていませんか?

学生に好印象を持ってもらいたいがために、キレイな面しか見せたがらない企業が実に多く見受けられます。
仮に入社に繋がったとしても、その先に待っているのは「早期離職」です。
その理由としてほとんどの離職者が「こんなはずではなかった」と話しますが、その背後には入社前のイメージと実際の仕事とのギャップがあるのです。

もちろん社内見学やグループワークが重要なコンテンツです。
しかしインターンのさらに先、入社後に長く働いてもらうことを見越すのであれば、「楽しい体験を行う」ではなく「社員の普段の仕事ぶりを見せる」ことが大切です。

実際、SADO JOBに参加した学生にヒアリング調査を行ったところ、どれだけ楽しいアクティビティを体験したところで、仕事内容についてあまり知ることが出来ずやりがいを見出せなかった学生は、満足度が低かったことが結果として出ています。
併せて、インターン開催後に学生へのフィードバックの場を設けることも学生の満足度を上げるためには効果的です。

佐渡島でのインターンから見えた「内定・入社に結びつける方程式」

就業体験の在り方を刷新  最終面接セッティング0件⇒20件へ

こうした課題感を払拭するため、SADO JOBを抜本的に改革。
その結果、9社20件の最終面接セッティングに成功しました。
(中には複数の企業との最終面接に臨んだ学生も)

離島という地理的制約がありながらもこれだけの実績を残した訳ですから、皆さんの地方でも、やり方次第で質の高い学生を集客できる可能性が高いです。
SADO JOBでは、以下のポイントを意識しました。

選考を意識した企画に徹する

(1)学生はエントリーシートにて選考
(2)参加学生は就活生を優先
(3)最終面接直結型のインターン

参加を希望する学生には事前にエントリーシート(ES)をはじめとした応募書類を提出してもらい、インターンシップに参加する学生を選抜しました。インターンの開催趣旨にそぐわない学生を多数受け入れることは、採用につながる可能性を低下させるだけでなく、受け入れ企業に不必要な負担をかけることとなります。事前にESの提出を求め、企画趣旨に沿った学生に向けてアピールしましょう。(インターンシップサイトの広告掲載など)

また、採用をゴールとしているため、就職活動中の学生を優先的に参加させましょう。SADO JOBでは、参加学生は就活生を(大学生であれば3年生・4年生)優先し、最終面接に進む権利を獲得できるようにすることで、学生・企業ともに選考を意識するようなインターンを構築しました。

“働くイメージ”の解像度を上げてミスマッチを防止

(1)1社集中型の就業体験
(2)懇親会など腹を割って話せる場を設ける

希望した配属先に所属できるかどうかは入社するまで分からない「配属ガチャ」…身に着けたいスキル・理想のキャリアを実現するために転職という手段を取る「キャリア焦燥感」…早期離職に繋がる原因はいたるところに潜んでいますが、就業体験でも学生・企業間にギャップが生じることがあります。

SADO JOBでは、「広く浅く参加企業を把握できる」形式から、「1社集中型の就業体験」へと方針転換したことにより、大きな成果に繋がりました。学生のニーズは「業種・企業の絞り込み」です。

複数日にかけてじっくりと一つの企業の事を知ってもらう必要があると考え、大転換を決断しました。
広く浅く企業のことを知ってもらうようなプログラム設計では、仮にインターンから入社に結びついた場合でも、学生が入社前後にギャップを感じやすく、早期離職のリスクが高まるため注意が必要です。

同時に、一度のインターンで気になる企業を効率的に知ることができるというコラボインターンシップのメリットを活用しましょう。
交流会やグループワークの場を設けるのであれば、個々の会社が行うような堅苦しいものではなく、全学生・全企業参加型の会をおすすめします。

重要なのはいかに学生の不安を取り除けるかということ。
リラックスした雰囲気のコミュニケーションが取れる機会を提供できるかが鍵となります。
(運営は学生・企業間が話しやすくなるような場づくりとサポートに徹しましょう)

内定後も学生と接点を

(1)こまめに連絡をとる
(2)交流会や入社前研修を設ける

内定に結びつけた後も安心してはいけません。

近年の傾向として何の前触れもなく学生が内定を辞退する”びっくり内定辞退”が増加傾向にあります。
面倒かもしれませんが、こまめに連絡をとることで内定者の熱量を高めておくことができます。

また、交流会や入社前研修を設けることもおすすめです。

インターンのパッケージ販売・ノウハウを提供します

コラボインターンは学生のニーズにマッチした次世代型インターンと言えるでしょう。
そこで、コラボインターンを開催したいと考えている企業様・自治体の皆様向けに弊社のノウハウをご提供します。

離島佐渡で次世代型インターンの成功事例を輩出した弊社では、コラボインターンのパッケージを販売いたします。

「うちの地方でもコラボインターンを開催したい」

そのように考えている方はお気軽にご相談下さい。
SNSやインターンシップサイトを活用した学生の集客方法も伝授することができます。


コラボインターンを開催したいと考えている企業様につきましては、ご自身の会社だけで同じ志を持った企業を探すのは骨が折れるかと思います。
まずは所属する自治体にお声がけいただき、コラボインターンシップを開催したい旨を要望しましょう。
その上で私たちにお声がけいただければコラボインターンシップのパッケージを提供いたします。
本商品についてご興味のある方は、お気軽に下記お問い合わせ先までご連絡ください。

——–株式会社YAZについて——–

新潟県佐渡島からHRコンサルティング事業を展開し、全国の企業の人材採用・育成を徹底サポート。
本社はアプリおよびシステム制作・開発を行うIT企業であり、DXの観点からも人材育成を手掛けます。

この記事を書いた人

sado_team

YAZ佐渡オフィス

佐渡から全国へ。新潟県佐渡島でHR事業を展開し、全国の企業様の人材採用・育成をサポートしております。