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コンピュータでは、データの閲覧・保存・編集といった作業を行います。違うコンピュータ間でデータのやり取りを行うことも少なくありません。当たり前のように行っているこうした作業は、「ファイルシステム」という機能によって実現されているのです。システムを発注する上でも、ファイルシステムへの理解が求められます。
こちらでは、ファイルシステムの概念や代表的な機能、種類、選び方など、基本的な情報についてお伝えします。
ファイルシステムとは?
ファイルシステムとはどんな機能なのでしょうか。以下では、ファイルシステムの概要や、代表的な機能についてお話しします。
ファイルシステムの意味
ファイルシステムとは、記憶装置にデータを書き込む際の管理方式です。現在は様々な記憶装置が使用されており、パソコンに常設するハードディスク(HDD)、SSD、補助記憶装置であるUSBメモリやSDカード、ドライブにマウントするCD-ROMやDVD-ROMなどがあります。これらの記憶装置を使用する際には、フォーマット(初期化)をしなければなりません。フォーマットの際には、ファイルシステムを選ぶ必要があります。
ファイルシステムは、Windows、MacOSなど、ほとんどのOS(オペレーティングシステム)で採用されています。また、テレビ用のHDDレコーダー、スマホなど、家庭用に普及している機器にも採用されている機能です。物理的な記憶装置だけではなく、クラウドのストレージなどもファイルシステムによってデータが管理されています。
ここでの記憶装置は「データを記録しておくもの」を意味します。通常、記憶装置はディスク状の装置であり、同心円状の区切った記録単位(トラック)にデータが書き込みされます。トラックをさらに分割したデータ記録の最小単位が「セクター」です。セクターがいくつか集合した単位は「クラスタ」と呼ばれます。
ファイルシステムの主な機能
- 保存
保存はファイルシステムによる代表的な機能です。ファイルシステムによって、データに任意の名前(ファイル名)を付けてファイルとして保存できるようになります。保存場所を指定できるのも、ファイルシステムによる恩恵です。ファイルとして保存することで、他のPCやアプリケーションでも使用できるようになります。ファイルの名前を含め、ファイル形式、ファイルサイズ(バイト単位)といった情報は「プロパティ」と呼ばれます。
ファイルシステムにおいて、ディスク上にファイルを格納するための「入れ物」を、フォルダ、もしくはディレクトリと呼びます。保存場所の指定・移動・実行などのファイル操作を行うソフトウェアをエクスプローラー(MacOSではFinder)と呼びます。ディスク上で記憶領域を分割することも可能であり、分割した各領域は「パーティション」と呼ばれます。
- 暗号化
ファイルシステムによって、ファイルを暗号化して保存できるようになります。暗号化しておけば、ファイルのアクセス権限を設定することでセキュリティーを強化できます。パスワードを設定しておき、ファイルを閲覧できるユーザーを制限することが可能です。
- 圧縮
ファイルを圧縮して保存できるようになります。圧縮したファイルは容量が減るため、記憶装置の容量を節約可能です。SSDなど、容量が少ない記憶装置では有効な方法といえます。
また、メール・チャットソフトでの添付など、外部とのファイルのやり取りでも役立ちます。圧縮したファイル・フォルダは、そのままの状態ではファイルの中身を見ることが出来ません。解凍することで、もとの状態に復元可能です。
ファイルシステムの主な種類
ファイルシステムには複数の種類があり、それぞれ特徴や対応しているOSが異なります。以下では、代表的なファイルシステムの種類をご紹介します。
FAT32
FAT32は、マイクロソフトが開発しているファイルシステム「FAT」の最新バージョンです。FAT自体はMS-DOSから採用されています。FAT12、FAT16、FAT32と機能を拡張して進化してきました。現在は、FAT16とFAT32が主に使われています。対応しているOSの幅広さが特徴です。WindowsXP以降、MacOS以降、Linuxなど、多くのOSに対応しています。
また、扱うファイルサイズに制限があります。1つのファイルの最大サイズは4GBまでです。最大2TBまでの保存領域を使用できます。FAT以降の数字が大きくなるほど、大きなファイルやドライブを取り扱いうことが可能です。
exFAT
exFATはUSBメモリやSDカードなどのフラッシュドライブ用に設けられた新しいFATです。Windows、Macの双方に互換性があります。
NTFS
NTFSは「NT File System」の略であり、Windows NT系に採用されているファイルシステムです。一般的には、Windows XP以降に使用されているファイルシステムを指します。FATの進化系であり、FATにはない圧縮機能や暗号化機能が実装されました。Windows10では主流のファイルシステムとなっていますが、他のOSとのやり取りには使用できません。
ReFS
ReFSは「Resilient File System」の略であり、マイクロソフトの最新ファイルシステムを指します。「Resilient」は「復元性がある」という意味であり、障害などから普及能力に秀でています。同じマイクロソフトのNTFSと比較すると、取り扱えるファイルサイズの拡大、ボリュームの拡大など、順当な進化を遂げました。ただし、一部不足している機能もあり、単純なNTFSの代替とはなっていません。
HFS+
HFS+はMacOS専用のファイルシステムです。1985年から使用されていた「HFS(Hierarchical File System)」の拡張版であり、さらに堅牢なファイルシステムへと変化しています。1つのファイルとして扱える容量は8EB(800万TB)と、大容量のファイルを取り扱い可能です。ただし、Windowsでのファイルアクセスはできません。
APFS
APFS(Apple File System)は2016年に発表された新しいファイルシステムです。MacOS、iOS、watch OSなど、Apple社が提供しているOSに使用されます。フラッシュメモリに最適化している点が特徴です。また、高度な暗号化機能も実装しています。Windowsでの読み書きはできません。
XFS
XFSは、LinuxなどUNIX系のOSで使用されているファイルシステムです。64bitファイルシステムであり、最大ファイルサイズは8EBです。しかし、OSの仕様により扱える容量が制限されます。32bit Linuxの場合は、最大16TBに制限されます。メモリを消費しますが、その分読み書きのパフォーマンスを早くしています。セキュリティー面では堅牢ですが、一度ファイルを削除すると復元ができません。
UDF
UDFは「Universal Disk Format」の略であり、DVDなどの光学式記録媒体に使用されるファイルシステムです。どのOSでも扱えるように設計されています。過去には、同じようなオープンなファイルシステムとしてISOが利用されていました。
ファイルシステムの選び方
記憶装置を使用する場合はファイルシステムを選択します。目的によって最適なファイルシステムが変わってくるため注意が必要です。以下では、ファイルシステムの選び方について解説します。
対応するOSで選ぶ
ファイルシステムにって対応しているOSが異なります。ファイルを使用するOSが複数ある場合は、対応OSを確認しましょう。例として、WindowsとMacのどちらでも使用する場合は、両方に対応可能なファイルシステムを選ぶ必要があります。
保存可能なファイルサイズで選ぶ
大容量のファイルを処理する場合は、扱える最大ファイルサイズの容量が大きいファイルシステムをびましょう。また、1つのファイルにつき、保存できる最大サイズが決まっているファイルシステムがある点にも注意が必要です。
システム開発でもファイルシステム選びは慎重に
ファイルシステムの概念や機能、代表的な種類についてご案内しました。PCやスマホなど、デジタルデバイスを使っている場合、知らず知らずのうちにファイルシステムの恩恵を受けていることになります。システム開発でも、ファイルシステム選びは非常に重要です。
複数のOSで使用する場合は、汎用性の高いファイルシステムをサポートしたシステムが求められるでしょう。また、システム開発を行うベンダーも対応しているファイルシステムを確認した上で選ぶことをおすすめします。新たにシステム開発を依頼する際は、多様なファイルシステムに対応できて、開発コストがお得なYAZをご検討ください。