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人工知能(AI)が進化するなかで、画像解析技術が注目を集めています。ビジネスシーンにおける導入事例が増加しており、今後の発展にも大きな期待が寄せられている分野です。
AIを活用した画像解析技術とは、どのような技術で、どういったビジネスで活用されているのでしょうか。今回の記事では、画像解析の基礎知識や、企業での活用例を紹介します。
画像解析の基礎知識
最初に、画像解析の基礎知識を解説します。画像解析技術の概要や、普及した背景、メリット・デメリットをまとめました。
画像解析とは
画像解析とは、カメラで画像を撮影したあとに、コンピュータが画像のデータを抽出する先端技術のことです。具体的には、画像に写っている被写体の「色」、「形状」、「長さ」、「面積」などのさまざまな情報を測定し、情報の抽出やデータ化を可能とします。
イメージとしては、人間が脳のなかで行っている視覚的な情報認識を、コンピュータが代わりに判定するテクノロジーです。最近では、画像解析だけでなく、動画解析技術も発展しています。
画像解析が普及した背景
画像解析技術が普及した背景に、プライベートからビジネスシーンまで、画像を使った電子データを取り扱う機会が増加した点が挙げられます。働き方改革を目的に、オフィスではペーパーレス化が推進されるようになりました。
電子データを取り扱うなかで、画像解析技術を活用すると、これまで手動で行ってきた単純作業の自動化を実現できます。大量のデータを高速で処理し、生産工程での品質管理や、SNS投稿のなから自社製品を抽出するマーケティング要素にも活かし、新しいビジネスチャンスを見込めます。
画像解析のメリットと注意点
- メリット
画像解析のメリットは、定型作業を自動化することで、業務効率化につなげられる点です。たとえば、製品の検査作業では、人間の目で見える範囲に限界があることから、小さなキズや個体差の判別にミスが生じていました。
そこで、ソフトウェアを使ってリアルタイムで画像処理すると、ヒューマンエラーによる見逃しや誤検出を防ぎやすくなります。また、各作業に配置する人員も抑えられるため、人件費削減にも対応可能です。
- 注意点
業務効率化や人件費の削減に期待できる画像解析ですが、注意しておきたいポイントがあります。画像解析を利用するためには、カメラやセンサーといった機器を設置する必要があるため、初期投資のコストがかかります。解析ソフトの導入も必要であることから、予算が限られている場合には、無料のフリーソフトの用意も検討しなければなりません。
また、画像解析は、すでに実用化していますが、まだまだ発展段階の分野です。現状の活用シーンが限られており、目的に適した使い方を実現できないことが考えられます。とはいえ、将来的には、ビジネスモデルにマッチしたシステムが登場する可能性もあるため、今後の進展にも注視しましょう。
画像解析の代表的な手法と画像認識の主な種類
画像解析には、「画像分類」、「画像検出」、「画像セグメンテーション」の3つの代表的な手法あります。
また、画像認識にも、「顔認識」、「物体認識」、「文字認識」の3種類に分類されています。
画像解析の代表的な手法
- 画像分類
画像分類とは、画像に写っている物体が何かを判断する手法です。「classification」とも呼ばれており、物体の特徴をピクセル単位で抽出し、何が写っているのかを可視化して分類します。色彩、明るさ、歪み、ノイズ、範囲の区別などを自動処理するのが特徴です。
- 画像検出
画像検出は、画像に写り込んでいる物体が、どこにあるのかを識別する手法です。自動で被写体を認識し、バウンディングボックスという四角形の枠で囲みます。また、枠で囲んだ物体が、何であるのかを検出することも可能です。
- 画像セグメンテーション
画像セグメンテーションとは、画像の領域に何があるのかを識別する手法です。たとえば、人間と猫が写っている画像の場合、どこからどこまでが人間であるのか、猫であるのかを分析することです。セマンティックセグメンテーションやピクセルラベリングとも呼ばれており、被写体の境界線を明確に区分けします。
画像認識の種類
- 物体認識
物体認識とは、画像に写っている物体を認識し、物体の特徴を抽出する技術です。対象物の位置を検出する技術も併用されており、画像認識のなかでもオーソドックスな方法です。
- 顔認識
顔認識は、画像のなかに写っている顔の特徴を抽出する技術です。同じ顔のグループ化や、似た顔の照合など、実用面でも活用できます。また、人間の表情から感情を認識する研究も実施されており、発展段階の技術でもあります。最近では、スマホのカメラにも搭載しています。
- 文字認識
文字認識は、紙に書かれている手書きの文字や、プリントアウトした文字を認識する技術です。文字を抽出してテキスト化したり、翻訳に活用されたりと、実用化が進んでいます。
AI画像解析の基礎知識
次に、AIを活用した画像解析技術を解説します。近年では、画像解析技術にAI技術を組み合わせた「AI画像解析」の研究が進んでおり、将来的な普及も期待されています。
AI画像解析とは
AI画像解析とは、AI技術と画像解析を組み合わせたソリューションのことです。上記で解説した画像解析技術と、「人間に近い知能を持ったコンピュータ」であるAIを活用することで、より効率的な処理手法を自動学習します。
AIを用いた画像解析の仕組み
- 機械学習
AIを用いた画像解析の仕組みに、機械学習が取り入れられています。機械学習とは、AIに膨大な数のデータを学習させることで、AI自身が画像情報を判別する手法です。
継続的に画像解析で抽出したデータを蓄積するため、人間が物事を覚えるように、AI自身が一つ一つの画像データを覚えていきます。また、データの数が増えるほど、画像解析の精度も向上し、解析作業の最適化を可能とします。ただし、事前に識別の基準となるパターンやルールをアプリケーションに設定しておく必要があります。
- ディープラーニング(深層学習)
ディープラーニングとは、深層学習とも呼ばれており、事前にパターンやルールを設定せずに、AIに自己学習させる手法のことです。ビッグデータから抽出した複数の情報をもとに、パターン化・ルール化といった学習モデルを形成していきます。導き出した答えと、実際の正解をすり合わせながら機械学習を継続し、高精度の画像解析を実現します。
AI画像解析技術の活用例
それでは、AI画像解析技術の活用例を4つ紹介します。倉庫業務、工場現場、医療現場、農業分野など幅広いシーンで活用されています。
倉庫業務の自動化
AI画像解析技術は、倉庫業務のIoT化に使用されています。従来の方法では、人間の目でピッキングした商品と注文書を照らし合わせる必要があるため、商品や数量、サイズなどを間違えるというヒューマンエラーが課題となっていました。
一方、AI画像解析技術を活用することで、ロボットによる検品作業を自動化し、ヒューマンエラーの防止につながります。また、在庫仕分けの作業も自動で行えるようになり、人件費の大幅削減、業務の効率化にも期待できます。
製造ラインにおける不良品の検知
製造業の製品ラインにおける不良品の検知に、AI画像解析技術が導入されています。製品がラインに流れてくる様子を映像で分析し、AIが自動的に不良品を容易に検知できます。
さらに、機械学習の継続によって、不良品の検出精度を徐々に高めることも可能です。人間の目で確認していたことによる不良品の見逃しを防ぎ、生産性の向上につながります。
CT画像の自動解析による診断支援
医療現場では、人間の病状や治療経過を医療画像で判別するために、AI画像解析技術を活用しています。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療現場で働く医師や看護師などの負担を軽減するために開発が進みました。
とくに、今回の新型コロナウイルス感染症は、感染の疑いがある人物、治療経過の観察が必要な患者のCT画像を、1日に何百枚も撮影する必要があります。AI画像解析技術を導入することで、これまで蓄積した肺のデータから分析し、正確性の高い診断を下せます。
ドローンを用いた自動農薬散布
ドローンを用いた自動農薬散布に、AI自動解析技術が取り入れられています。人間の目では、どこに害虫が潜んでいるのかを監視するのが難しく、不必要な場所にも農薬を散布することが頻発していました。
AI自動解析技術を活用すると、ドローンに搭載したカメラが害虫を自動認識し、農薬を散布するべき場所のみを簡単に探し出せます。結果として、害虫の早期発見や農薬のコスト削減につながるだけでなく、低農薬による農作物の栽培も可能となります。
画像解析の特徴を理解しビジネスで取り入れることが重要
画像解析技術は、ビジネスシーンでの導入も進んでおり、今後の発展も期待されている分野です。
目視では判別が難しい物体を解析し、ヒューマンエラーの発生や、現場の業務効率化、人員削減のコストカットなどのメリットを得られます。
そして、AI技術を画像解析に取り入れることで、より高精度の処理を実現します。
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