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日常生活の幅広いシーンで活用されている生体認証の技術。生活者の身近にある例として、スマートフォンの画面ロックへの採用が挙げられます。ユーザーの顔や指紋などを使ってロック解除ができる便利な仕組みです。そんな生体認証は、ビジネスシーンでも活用されています。
自社のシステムへ導入を検討されているご担当者様は、メリット・デメリットを確認してみましょう。本記事では、生体認証の基礎知識をお伝えします。
生体認証の基礎知識
生体認証技術は、主に本人確認などの場面で用いられます。利便性が高い一方で、課題が残されている側面も。まずは生体認証の特徴や、メリット・デメリットなどの基礎知識をお伝えします。
生体認証とは?
生体認証は、人体の生体情報を基に個人認証を行う技術の総称です。「バイオメトリクス認証」とも呼ばれます。
人の身体的および行動的特徴を分析し、事前登録された生体情報と照会することで個人認証を行う仕組みです。その技術は、IT、物流、医療など多くの業界・業種で活用されています。
生体認証のメリット・デメリット
- メリット
生体認証では、本人の生体情報が認証に用いられ、盗用や漏洩リスクが低いとされます。身体を用いた認証のため、紛失リスクも存在しません。生体情報以外の知識情報や所持情報と併用することで、より強固なセキュリティの認証システムを構築でき、安全性を高められます。
なお、知識情報とはIDやパスワードなど本人が知っている情報のこと、所持情報とはICカードやクレジットカードなど本人が持っている所有物に搭載された情報のことです。こうした複数の認証情報を用いた認証方法は、「多要素認証」と呼ばれます。
- デメリット
現状、100%の精度を誇る生体認証は存在しません。そのため、システムが生体情報を誤認した場合に、別人を認証するリスクがあります。また、生体情報自体が変化すると、認証できないおそれも。たとえば顔認証では、ケガをしていたりマスクを着用していたりするだけで、認証できない可能性があります。
生体認証の主な種類
生体認証は、認証時に使用する体の部位により、いくつかの種類に分けられます。
それぞれの身体的特徴が、どのような仕組みで用いられているのでしょうか。ここでは種類別に解説します。
顔認証
鼻や目などの部位、顔の輪郭を画像認識技術で抽出し、分析する技術を用いた認証方式です。データベースに登録されている生体情報と照合し、マッチした場合のみ認証します。カメラやセンサー付近に顔を寄せるだけで、非接触で認証を実現できるため衛生的です。ただし、同一人物であってもマスクや化粧の有無により認証できないケースがあります。また、顔は重要度の高い個人情報のため、データ管理ではセキュリティ対策の徹底が求められます。
指紋認証
比較的古くから利用されている生体認証の一つです。指紋は人によって異なり、別人の指紋が完全一致する可能性はゼロに近いとされています。その一方で、たとえ本人の指紋であったとしても、指紋の変化や汚れなどの付着により認証できないことも。また、専用のリーダー端末にタッチするため、衛生面での懸念が残ります。
静脈認証
静脈のパターンによって認証を行う方法で、「指静脈認証」や「手のひら静脈認証」などの種類があります。精度が高く、生体情報の盗難や偽造をされにくいのが長所です。一方、現状では機器の小型化が難しく、かつ本人の体調による影響を受ける可能性があります。
音声認証
人の話し声の周波数などで認証を行う、「声紋認証」とも呼ばれる方法です。ユーザーが手軽に利用しやすい上、声の特性をまねるのは難しいため、本人を認識しやすいとされます。周辺環境に騒音が多い場合は、精度に影響を与えるおそれがあるため注意が必要です。
虹彩認証
目の虹彩の特徴から認証を行う方法です。虹彩は瞳孔の周辺にある部位で、経年変化が少ないとされています。非接触で精度の高い認証が可能です。ただし、メガネやコンタクトレンズを装用しているケースや、照明などの周辺環境が精度に影響するおそれがあります。
耳介認証
耳の形状で認証する方式で、「耳形認証」とも呼ばれます。耳を見せるのみで済むため、ユーザーが手軽に利用しやすい方法です。一方で、利用者の髪型によっては耳周りにかかった髪が影響し、精度が低下する可能性があります。
行動認証
ユーザーの動きから認証する方法です。「行動的生体認証」とも呼ばれます。認証に用いられるのは、文字を書く際の筆跡、まばたきや歩行の特徴、キーボードを打つ際のキーストロークなどです。なりすましが難しい一方で、本人の行動パターンの変化にともない認証できなくなるリスクがあります。
DNA認証
遺伝子情報から認証する方法です。理論上は個人を100%の確率で特定できるとされ、精度の高さが特徴となっています。
ただし、現状ではDNAの分析に多くの時間を要するため、まだ実用段階には至っていません。
【業界別】生体認証の活用例
生体認証の技術は、日常生活の場面に限らず、ビジネスシーンにおける本人認証でも活用が始まっています。最後に、各業界での導入事例をご紹介します。
航空業界
空港での搭乗手続きに生体認証を採用する企業もあります。事前にパスポートと顔写真を登録すれば、搭乗手続きを顔認証のみで済ませることが可能です。
利用者の待ち時間短縮や、企業側のオペレーション改善および、業務効率化につながっています。
物流業界
多様な勤務形態のスタッフが働く物流業界では、生体認証を活用した勤怠管理が導入され始めています。顔認証や静脈認証を用いて、スムーズに従業員の勤務状況を記録。
業務効率化や集計ミスの削減につながるほか、管理者が不在の時間帯も不正を予防できます。
金融業界
取引の安全性が重視される金融業界では、職員の入退室管理や、銀行ATMでの本人確認などに生体認証が取り入れられています。
従来の暗証番号での管理に対して、忘却や盗み見によるリスクを低減。ユーザーの安心につながるサービスの提供が進んでいます。
医療業界
多くの医療機関に電子カルテが普及し、IT化が進む医療業界。重要な個人情報を取り扱うシステムでは、セキュリティ対策に生体認証が用いられています。
ログイン時に医師や看護師など医療従事者の本人確認を実行。情報にアクセスできるアカウントを制限し、患者の個人情報を不正アクセスから守ります。
生体認証システムの導入でDX推進を後押し
ここまで、生体認証の基礎知識や、メリット・デメリット、業界別の活用例をご紹介しました。
生体認証はビジネスシーンでの活用も始まっており、導入により業務効率の向上が期待されています。
社内のDX推進へ向けて生体認証システムをご検討の際は、生体認証システムの開発実績を有するYAZにご相談ください。
お客様のご要望を丁寧にヒアリングし、適切なシステムを提案いたします。